【2022年最新版】歯科技工士の離職率とその理由を徹底解析!!

    こんな人におすすめ
    • 歯科技工士の詳しい離職率が知りたい
    • 離職率が高い理由を知りたい
    • それでも辞めない人の理由が気になる

    歯科医療の末端として重要なポジションを担う歯科技工士ですが、その高い離職率の危険性が叫ばれ続けています。

    「歯科技工士」とインターネットで検索しようものなら、「歯科技工士 やばい」「歯科技工士 やめたほうがいい」などといったネガティブなキーワードばかりが目立つのも事実。

    僕自身、歯科技工士を辞めてから8年が経ちますが、当時の記憶を思い返しても経済的な意味では悲惨なものでしたし、先輩や後輩たちにおいても退職者が後を絶たない状況が続いていました。

    いくら仕事が好きでも自身の結婚や将来のことを考えると、続けるに続けられない現状に差し掛かります。

    今回はそんな歯科技工士の離職率を詳しく調べるとともに、なぜ離職率が高いのかといった詳しい理由と、現在も歯科技工士を続けている方達を支えるものは何かについて調査しました。

    目次

    歯科技工士の離職率について

    歯科技工士の離職率は、ちまたでは7~8割と言われています。

    ではこれが本当かどうかを見極めるため、実際に歯科技工士免許の取得者と、歯科医院や歯科技工所などへ就職されている従事者数を過去20年の推移から見ていきましょう。

    出典:厚生労働省ホームページ 歯科技工士に関する最近の状況等より

    令和2年の最新データは、グラフ・免許登録者数の記載がないので、分かりやすくするために平成30年までのグラフを載せておきます。

    更にここから、令和2年の最新データとして免許登録者数を独自に計算してみたいと思います。

    令和元年の合格者838名 + 令和2年の合格者823名 = 1661名

    (合格者数データ歯科医療振興財団より)

    この人数を免許登録者として平成30年分に加えます。

    平成30年 120157名 + 令和2年 1661名 = 121818名

    国家資格に合格しても歯科技工士免許の登録をしない人はいないはずなので、令和2年での免許登録者数は121818名としてほぼ間違いないと思います。

    そして従事者数は「34826名」と、厚生労働省の令和2年衛生行政報告例より正しいデータが出ていますので、

    • 令和2年の歯科技工士免許登録者数は121818人(独自算出データ)
    • 業務従事者数は34826人
    • 従事者の占める割合は28.6%

    これが現段階で分かっている最新データになります。

    (厚生労働省からは2年ごとの報告となっていますので、令和4年のデータは来年になるかと思います)

    では、グラフなどの情報を元に検証していきたいと思います。

    と、言いたいところですが離職率の検証をするまでもなく、グラフを見れば一目瞭然なんですが、

    これほぼ辞めてません!?

    この20年で免許登録者数は36000人程増えています。

    にもかかわらず、従事者数が徐々に減りつつあるとは・・・

    やはり歯科技工士の離職率は7~8割と言われているように、その数値は本当のようです。

    ちなみに歯科衛生士さんとの比較をしたデータもあります。

    出典:厚生労働省ホームページ 令和2年衛生行政報告例より

    過去10年での従事者の増減を見比べてみても、歯科衛生士さんは10131人増えたのに対し、歯科技工士では358人しか増えていません。

    もうこれは、離職率7割なんて甘いと思います。

    少なくとも8割以上は辞めてしまっているのが現状でしょう。

    日本歯科技工協会でも独自に調査していた

    出典:歯科技工管理学研究より

    これは、日本歯科技工士協会(以下日技)がインターネットなどで入社5年以内の歯科技工士の離職率が7割であると伝えられているのを気にして、同協会の会員に対してアンケートを行った結果です。

    日技とは、昭和42年と古くからある歯科技工を業とした経済団体のこと。

    特に歯科技工士となったからといって、全員が協会に入るわけではありません。(僕も協会には入っていませんでした)

    日技が会員歯科技工所78社に対して行ったアンケートの結果
    • 5年以内の入社総数1243人を対象
    • そのうち入社5年以内の離職者は345人(離職率27.8%)
    • 転職者99人(転職率8%)
    • 転職者とは他業種に移った人のこと
    • 離職理由の多くは「人間関係」「労働時間」が上位を占めた

    正直この数字が高いのか低いのかはよく分かりませんが、日技が言いたいのは要するに、現状を把握すると共に労働環境の改善に全力をつくす必要を感じたとのことです。

    歯科技工士の離職率が高い理由

    歯科技工士の離職率が高い理由としては、次の3つが大きな原因だと思われます。

    • 長時間労働
    • 低賃金
    • 雇用条件の悪さ

    それぞれの考えられる原因を見ていきましょう。

    長時間労働の原因

    歯科技工の作業内容においては、そのほとんどが完全なハンドメイドによるものです。

    近年、CAD/CAMなどの機械に頼った製作物も増えてきましたが、まだまだ手作業の必要性がなくなることはありません。

    患者さん一人一人のお口に合ったものを作るには、歯科技工士の職人技に頼る他ないのが実情です。

    結果としてそれが、長時間労働へとつながってしまう原因にもなります。

    更には作ったものが口腔内にうまく合わず、作り直しとなることもあるため、その際にかかる費用も歯科技工士側の負担になることも多く、再製料金+作り直しにかかる時間の負担も重くのしかかってきます。

    低賃金の原因

    歯科技工士が低賃金になる原因としては次の2点が大きな原因ではないかといわれています。

    1. 技工所間のダンピング競争
    2. 歯科医院による値下げ要請

    ※ダンピングとは、不当な安い価格で商品やサービスを提供することです。

    実際に歯科医院から仕事を欲しいがため、他所よりも安い料金で請け負うことをする歯科技工士が後を絶ちません。

    そのうえ、歯科医院からは作ったものに対しての値下げ要請があることもあり、経営が圧迫される原因にもなっています。

    当然、技術力の高い歯科技工士の方は歯科医院からの信頼もあり、それなりの金額で請け負っているようですが、それもほんの一部にしかすぎません。

    ほとんどの歯科技工士がお互いに首を絞めあっている現状にありますが、いち従業員として真面目に働いている歯科技工士は低賃金の理由を知らない人も多いのです。

    その結果、いつまでたっても低賃金のままだと嫌になり、退職をしてしまうことが高い離職率の原因ともなっているのでしょう。

    雇用条件の悪さ

    普段の長時間労働に対し、残業手当が全てつくとは限りません。

    ただ単にダラダラと仕事をしているとみなされ、残業代を支払ってもらえないところも多くあります。

    特に、どこの歯科技工所にも労働組合などあるはずもないので、会社に対して従業員の立場は弱いのが現状です。

    仮に訴えたところで自分の居場所を失い、これもまた退職することになるのがオチでしょう。

    この他にも、ボーナスや退職金制度もないところが多く、若いうちから歯科技工士としての将来に希望を見いだせず、早々に辞めてしまう人が多い原因となっています。

    それでも離職しない人の理由

    僕が歯科技工士として働いていたときに考えていたことは、今は我慢して技術を磨き、将来は独立をするということです。

    このように将来に対して希望をもって働いている人は意外にも多く、現段階での給料の安さや雇用条件の悪さなんかを気にしてはいません。

    今にみてろ!絶対に稼げるようになってやる!と、意気込んでいることでしょう。

    このように歯科技工士を続けている人の中には、将来の目標をしっかりと持ったうえで働いている人もいます。

    そして現在、独立をして頑張っている歯科技工士さんも数多くいます。

    ただ逆に、独立をしても儲からないだろう、辞めても他に何をしたらいいのか分からない、といった考えのまま、会社に残る人も多かったように思います。

    このことからも歯科技工士を辞めない人の理由としては、

    • 将来、独立を果たそうとしている(実際に独立をされた人)
    • 辞めてもどうしていいのか分からない

    以上の理由から、歯科技工を辞めない人の中にもこのどちらかに分かれるかと思います。

    • 今の会社を辞めて独立をするために歯科技工士を辞めない人
    • 辞めてその後どうしたらいいのか分からないから辞めない人

    といったニュアンスがちょっと違いますが、とにかく歯科技工士を辞めない人というものについてはこのようなまとめとさせていただきます。

    まとめ

    • 歯科技工士の離職率は8割以上が濃厚
    • 離職率が高い理由は、低賃金・長時間労働・雇用条件の悪さから
    • 辞めない人は、独立を目標としている・それでも会社にいたい人に大別されるリスト

    調べれば調べるほど、歯科技工士を辞めてしまった身としては、現在も活躍されている方達に対して本当に頭が下がる思いです。

    本当に歯科技工士は世の中に必要な存在なんです。

    しかし歯科技工の業務形態においては相変わらずのようです。

    ここには書きませんでしたが、実は年齢別に見た現在の歯科技工士の約半分が、50歳以上であるというデータが出ています。

    これがあと10年、20年後にどういった影響を及ぼすのか・・・

    専門学校も次第に閉校する所が増えてきているなか、待遇などの改善を急いでほしいと心から願っています。

    この他のヤバイ歯科技工業界の諸事情については、こちら↓の記事に書いてありますので、ぜひご覧ください。

    僕が実際に歯科技工士として、働いていたときの実話を乗せた記事はこちら↓です。

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