- 歯科衛生士の仕事に興味がある
- 実際のところどうなのか(本音)を知りたい
- これから歯科衛生士として働こうとしている
国家資格を取得して、ようやくひと安心かと思いきや、就職先でのことが心配ではありませんか?
実は歯科衛生士の転職率は8割と、様々な理由から職場を離れてしまう人が多い業界なのです。
あまり気にしすぎるのもよくありませんが、いざ就職をしてみると理想とのギャップから、急に辞めてしまいたくなったなんてことは防ぎたいものです。
今のうちから、先輩方の本音を知っておくだけでも心の準備ができて、少しは気が楽になるのではないでしょうか。
そこで実際に、現役と元歯科衛生士の方に仕事の本音をアンケートしてみました。
歯科衛生士の転職率と辞める理由
- 転職をしたことがない:22.2%
- 1回ある:21.4%
- 2回ある:17.8%
- 3回ある:17.6%
- 4回以上ある:19.6%
先にも言いましたが、歯科衛生士の転職率は8割です。
データだけを見ると、転職率8割と高いようにも見えますが、その原因は女性ならではの理由も含まれます。
- 結婚:29.3%
- 経営者との人間関係:29.0%
- 出産・育児:28.7%
- 給与・待遇の面:22.3%
- 仕事内容:22.0%
- 勤務形態・勤務時間:19.5%
- 仕事内容のレベルアップのため:15.9%
「結婚・出産・育児」による退職理由は、おめでたいことでもあるので気にする必要はないと思います。
それ以外のところでは、「経営者との人間関係」が上位を占めています。
やはり働く場所での人間関係がうまくいかないと、やりづらくなることは目に見えているようです。
アンケートを取った中でも、ドロドロとした人間関係や、仕事内容での苦労話がふんだんに書かれています。
先輩方の意見を知ることで、先回りして対処法を考えることができるかもしれませんね。
それではさっそく見ていきましょう!
長年勤めていた方とウマが合わずに退職することに
静岡県に住んでおり、現在の年齢は29歳です。
21歳から28歳までの7年間勤め、最終的な年収は350万円でした。
妊娠をきっかけに退職しており、臨床を離れて1年半経過しています。
歯科衛生士歴7年間のうち、新卒で就職した職場は8ヶ月で退職し、すぐに職場を変えてそこで長く勤めました。
私は新卒で就職した歯科医院を、人間関係を理由に1年未満で退職しています。
同僚や院長とは難なく仕事をしていましたが、その医院で15年以上勤めている方とどうしても合わず、退職に至りました。
人間関係で躓くと、どうしても仕事に影響が出ます。診療の流れであったり、雰囲気であったり。
患者様を相手にする職業ですし、そのような空気を感じさせないように事をするのがプロです。
しかしながら、私も学びたいという意欲が削がれ、1日を過ごすのが辛くなってきたので退職を選択しました。
2件目で勤めた歯科医院では、人間関係に恵まれ、毎日楽しく仕事が出来ました。
やはり、周りの環境は大きいと思います。
周りを気にしながら萎縮して仕事するよりも、自分が心から楽しいと、そう思える環境で仕事をする事が大切だと感じます。
その方が、患者様にも余裕を持って対応できますし、歯科医院の雰囲気も良くなります。
歯科衛生士の仕事内容は技術ですから、必死に勉強したり、腕を磨けば自然と身につきます。
しかし同僚や院長など人間関係はどうにもならない事なので、自分に合わない所で働くのは辛く、苦しい事だと思います。
拘束時間が長く、家族との時間がもてない
地元の歯科衛生専門学校を卒業した、27歳7年目の歯科衛生士です。
1ヶ所目の開業医で一年、結婚後現在の開業医で五年目。ただいま二人目育休中の歯科衛生士ママです。
田舎の方に住んでいます。比較的働きやすい職場で働かせて頂いています。
歯科衛生士として、働いてみて一番辛いな、大変だなと思ったことは拘束時間が長いことです。
独身時代は午前8時出勤〜午後21時帰宅、休憩も短い時は15分弱のブラック企業でした。
それでもこれが普通、独身だからと耐えていました。
結婚後に子どもが生まれたため、比較的融通の効く職場へと移ることに。
しかし、正社員に戻ろうとすると帰宅時間は19時を回ってしまいます。
そして休みも平日に一日だけ、土曜出勤は必須です。
家族時間となると日曜日しかありません。
歯科衛生士の離職率が高いのは、そのせいがあるのではないかと感じます。
一般的な会社の正社員の17時上がりが、歯科業界では厳しい現実があります。
上司は経営のことを考えないといけないのもわかります。
しかし家庭を持つ以上、職場のことばかりも考えてはいられません。
歯科衛生士という職は好きなのに、家族との時間をとりたい。
転職しようか、日々葛藤の毎日です。
患者一人に割り当てられる診療時間が短く、時間がない
48歳、沖縄県在住の女性。年収95万円。
歯科衛生士を20年間パートとして頑張ってましたが、体調を崩したことがきっかけで、少し前に仕事を辞めました。
今は、在宅で仕事を少しづつ始めています。
仕事で一番大変な事は、時間制限があるため一人一人ゆっくり、話をする時間がない事です。
1時間毎に患者さんの予約が入っているため、その時間内に終わらせないといけません。
そのため常に時間がなく、トイレも水を飲む時間もないくらいです。
ドクターが厳しく、患者さんの前で怒る事もしばしばあります。
そのときの患者さんが、逆に私のせいで怒られてすみませんと謝ることもあります。
そういう時は辛いと感じます。
歯石除去をするときも、痛いと患者さんのクレームがあるため、痛くないように気を付けるために神経をつかいます。
更に、患者さんからのクレームで、この人は痛いから別の人にしてというクレームもあるので大変です。
色々な患者さんがいらっしゃるので、難しい患者さんだと大変だったりします。
本当に長く務めるのは大変だと思います。
お局によるいじめ
千葉県在住の女性、30歳で年収は200万位です。
歯科では受付、スケーリング、歯科医師補助等全般的に実施しております。
何箇所か歯科を経験していますが、今のところに就職して2年が経ちました。
基本的に女性が多い職場なのでギスギスしています。
標的にされるといじめなんて日常茶飯事です。
どこの歯医者でもボス的存在のおばさん(お局)がいますね。
患者さんはとてもいい方ばかりなのでやりがいがあり、綺麗になって帰っていかれる患者さんをみるとこの仕事やっていてよかったなと思います。
私の職場は朝早くから夜遅くまで診療している歯科なので、拘束時間がとても長く休みもまちまちなので、家に帰っても寝に帰るだけな日々が多く、プライベートの趣味が全くできないのが辛いです。
給料面も平均的にすごく低いです。
ボーナスもお小遣い程度しか出ないので、毎月少ない給料でやりくりしてることが多く、もう少し給料が上がってくれると嬉しいなと思います。
歯科医師がなんでも仕事をふってくる
38歳、女性。高校を卒業してから専門学校へ通い、歯科衛生士になりました。
卒業と同時に就職したクリニックで働き始め「16年目」になりました。
住んでいる地域は「大阪府」で、年収は「400万円」程度です。
歯科衛生士の仕事をしていて辛いことは、「歯科衛生士になんでもかんでも仕事をふってくる」ところです。
歯科衛生士の仕事は、スケーリングをすることがメインなのですが、他にも在庫管理をさせられたり、器機の消毒、減菌などもしなければなりません。
それだけなら良いのですが、「それくらい自分でやってくれよ」と言いたくなるような医師からの仕事や、面倒な患者対応まで・・・
こちらが医師から頼まれた仕事や患者対応をして、戻ってきた時に医師がスマホをいじっていたことがあり、発狂してしまいそうになったことが何度かあります。
仕事を色々と任されるということは、それだけ効率良く仕事をしていると認めくれているからだとは思いますが、それなら歯科衛生士のことを見下さないでほしいと思っています。
新人で入ったときなどは、医師から見下されており、よく怒られたりバカにされていました。
そういうところが、歯科衛生士の仕事は辛いなと感じます。
年齢を重ねた先に待ち受ける問題
三重県在住の43歳女性。歯科医院を転々としながら勤続23年となります。
2軒の歯科医院を掛け持ちしており、パートで週4.5日を分けて働いています。
年収は、大体250万くらいです。パートなので、ボーナスはありません。
担当制で無い場合は、日によってアシスタントばかりの日があり、休憩までの5時間が立ちっぱなしの勤務となるのが、歳を重ねるごとに、辛くなってきました。
歳が離れ過ぎている若いスタッフと、価値観も考え方も違う事が多いので、ストレスが増えやすいです。
院長との相性が合わないと、毎日が苦痛になります。
また、経験が浅いドクターの治療で、言いたいことや思う事があっても言えないので、患者さんのことを気の毒に思う事もあります。
評価が出来ない上司(院長)の場合、新卒スタッフと20年以上の経験があっても、給料がほぼ変わらない事もあります。
相性が合わない患者さんに、理不尽なクレームを受ける事もあります。
経験を積むと流せる事も多いのですが、理不尽な内容だとショックが思いのほか、大きく感じることがあります。
保険に関して歯科医院は、一定数を超えると厚生年金に入らないといけないルールがあるのですが、労働時間はクリアしていても、歯科医師国保に入れてもらえないこともあります。
歯科医師の意見は絶対であり、逆らえない
勤続年数8年目。今働いている歯科クリニックでは3年目の現在33歳になる女性です。
関西在住で年収は約300万円。
歯科衛生士として働き始めてようやく軌道に乗ってきた昨今、日々の暮らしの中で自信を持って接客するということができています。
主に人間関係で悩んでます。やはり歯科衛生士と言えど歯科衛生士だけでは仕事はできません。
医師である歯科医の元で、あくまで補助に徹するということで先生以上の働きはできないのです。
小さいクリニックのため、お山の大将である歯科医の意見というのは絶対であり、服従せざるを得ない雰囲気というのはとてもしんどかったりします。
私も年を重ね、30歳を過ぎてくるとやはり先生は若い歯科衛生士のことが気にかかるようで、昔のように20代の頃のような失敗は許されない雰囲気になってきています。
笑ってごまかせていたそんな20代の頃の失敗は、決して30代になってからは許されないようになりました。
自分も指導する側の立場になり、その先生の甘やかしの矛先は若い歯科衛生士に向いているというところで、いつクビを切られるのかという思いをしています。
先輩歯科助手からの妬み
34歳の女性。歯科衛士歴は13年目です。
鳥取県在住で現在は、育児休暇中なのでお給料は発生しません。
現在2軒目の歯科医院で勤務しておりますが、2軒ともいろんな記事が書けそうなくらいの個性の強い歯科医院です。(笑)
1年目で勤務した医院がクセが強めの医院でした。
歯科助手の先輩がとても変わった人で、機嫌の良い日は「◯◯◯ちゃん」っと呼んでくるのに、機嫌の悪い日は、「おはようございます」と私が挨拶すると、「チッ」っと舌打ちをしてきます。
私も聞き間違いかと思ったのですが、その日は私の事をフル無視でした。
挙げ句の果てには、私が患者さんの歯にセメントを詰めていると、貧乏ゆすりのように足を動かし「早くしろ!」っと…
後々他のスタッフに聞くとその先輩は、入社1年目の私の方が給料が高い事に腹が立っていたようです。
その先輩は私より年齢が6個上で、私より4年早く入社し働いていました。
でも歯科衛生士と歯科助手なので、給料の差はあって当然です。
しかし、それが許せなかったようで日々の勤務態度も悪く、保険証を置いて職場を辞めていきました。
働く人によっては本当に仕事がやりづらかったりします。
私は仕事の内容よりも人間関係の方が1番しんどかったと実感しました。
口臭がひどい患者さん
現在、33歳の女性です。
歯科衛生士の資格をとったばかりで、勤続年数はまだ半年と短いです。
茨城県在住で、近所の歯医者さんに勤務しています。
年収はまだ分かりませんが、見込みとしては200万程度だと契約時には聞いています。
仕事柄、しょうがないことですが患者さんの口臭を嗅がなければならないことは、非常にストレスです。
8割ほどは何も感じませんが、2割くらいの患者さんは嫌な臭いの方がいらっしゃいます。
患者さんは悪くはないのですが、やはりその人の人間性を疑ってしまいたくなるような悪臭の方もいらっしゃいます。
また、口腔内を触られることが嫌なのか、私の腕を掴んでくる患者さんもいます。
作業にとても弊害をもたらすので、やめてほしいとは言いますが、どうしてもしてしまう方には困ってしまいます。
さらには口腔内を見ているのに、おしゃべりをしてくることにも困っています。
作業しづらいだけでなく、唾液が出るため、非常に作業効率が下がってしまいます。
男性歯科衛生士は肩身が狭い
大阪市在住の35歳男性。勤続年数は5年です。
年収は350万円です。
IT企業のサラリーマンから転職し歯科衛生士になったのでまだまだ新米です。
女性が多い職場なので常に女性のへの気遣いを大事にしながら働いています。
歯科衛生士で辛いことは、男性が少ない職場だからです。
女性の比率が8割です。
そのため女性の意見に従う、または尊重するといったことを日々しないといけません。
特に一番困るのが、休憩時間です。
女性同士でかたまって仕事の愚痴を話しているところに入りにくいいため、軽くお菓子などの差し入れを入れて外出するようにしています。
女性と男性の違いを感じることも多いですがぐっとこらえて仕事をしています。
また搬入などの力仕事もほとんど任せられるため肉体面でも疲れます。
待遇面に関しては、私自身転職未経験で入ったので最初は低い給料でした。
しかし、少しずつ仕事もできるようになり収入もあがりました。
比較的に残業も少ないのでその点は働きやすいです。
まとめ
歯科衛生士さんが語る仕事の本音(辛いこと・大変なこと)は、以下の通りです。
- 人間関係によるトラブルが多い
- 拘束時間が長い
- 患者一人に割り当てられる診療時間が短く、時間がない
- 絶対的権力者でもある歯科医師が最悪だった
- 歳を取った先に抱える問題点(体力的なこと)
- 患者さんの口臭問題
- 男性歯科衛生士は、女性が多い職場で浮きがち
やはり一番の問題点は、人間関係にあるようですね。
嫌な歯科医師や、何かとライバル意識をもってくる先輩歯科助手、お局、口の臭い患者さんなど、チームを組んで患者さんの口腔内の治療をする仕事柄、仕方のないことなのかもしれません。
その中でも、割とよく聞くのが拘束時間が長いということ。
歯科技工士ほどではないにしても、一般的なサラリーマンに比べると、定時(17時)で上がれることもなく、休日も少ないため、子育てをしながら働くのは難しい環境にあるようです。
それでも、やればやるほど技術が身につくことから、患者さんの口腔内をキレイにできることに、やりがいをもっている方も沢山いらっしゃいます。
何年か働いた先には、「認定歯科衛生士」の資格取得をすることを、一つの目標とするのもいいかもしれません。
こちらの記事では、「認定歯科衛生士のなりかた」について記載していますので、よろしければぜひご覧ください。
更に、当記事内にもあった世間的にもまだ珍しい「男性歯科衛生士」のことについては、こちらの記事にて詳しく解説しています。