- ヤマト運輸のマウスピース矯正について詳しく知りたい
- 作っているのはヤマト運輸の人?歯科技工士?と疑問な人
- 新サービスの料金や発注方法など詳しく知りたい
ご存じですか?
最近になって、あのクロネコヤマトの宅急便こと、ヤマト運輸が「マウスピース矯正」のサービスを始めたことを。
出典:FNNプライムオンライン
先に簡単な内容を説明すると、2022年5月18日にヤマト運輸は、歯列矯正サービス「hanaravi(ハナラビ)」を手がけるDRIPSという会社と、ヤマト運輸グループの輸送拠点などに設置されている3Dプリンターでマウスピースを製造し、配送するサービスを開始したとのことです。
この映像、まさかヤマト運輸のドライバーさんが作っているのではないでしょうね。
まさかそんな簡単に素人が見よう見まねで出来るはずがありませんよね・・・
なんてうじうじ考えている時間があったら、電話して確認してみよう!
ということで、厚生労働省・ヤマト運輸・提携先のDRIPSへと直接電話で聞いてみた結果を報告します‼
ヤマト運輸が提携した「DRIPS」とはどんな会社なのか、そしてどのようなサービスなのかと調べていくうちに、ヤマト運輸の意外な事実も見えてきました。
そして、なぜ今になってマウスピースなのかについても、詳しく説明していきたいと思います。
それではさっそく見ていきましょう!
ヤマト運輸がマウスピース製造を始めたわけ
出典:nippon.com
コロナ禍で矯正をする人が増えた
実はコロナ禍においてマスク生活になったことで、歯の矯正をしていても周りから気付かれにくくなったことや、在宅時間が増えたことにより、マウスピースの装着時間が確保できるようになったことなどから、マウスピース矯正の需要は増えているそうです。
そこでヤマト運輸は、ワイヤー矯正に比べて低コストで始められる人気のマウスピース矯正に目を付けたという訳です。
では、マウスピース製造を始めるためにヤマト運輸はわざわざ3Dプリンターを購入したのかというと、そうではありませんでした。
ヤマトの意外な事実が明らかに
元々ヤマト運輸は、2017年に東京都大田区の拠点「羽田クロノゲート」に、3Dプリンターを導入し、それ以来、人工関節や手術用の治具などを、患者さん一人一人に合わせて作る医療関連の試作品を中心に製造していたそうです。
今回のサービスを行うにあたって新しく3Dプリンターを導入したのではなく、2017年にはもうすでに活用し始めていたんですね。
それにしても、人工関節などの医療関係に着手していたなんて驚きです。
新事業の利点・納期と費用など
●環境への配慮
矯正用のマウスピース製造の主流は主に「海外」のため、国内の拠点でプリントをすると中間の輸送がなくなるため、CO2排出削減に貢献できる運び方が可能となったとのこと。
●短縮された納期
どうしても海外から輸送されるため、一定の時間がかかってしまうそうですが、このサービスではデータを受け取ってから患者さんの元に届くまでの日数は、およそ4日で済むそうです。
●費用は半額以下に
治療費は大手メーカーでは100万円かかるところ、このサービスでの価格は30万円程度に抑えられるとのこと。
- 患者さんの手元に届く日数はおよそ4日
- 費用は30万円程度
ヤマト運輸と提携したDRIPSとは?
高額な治療費によって歯科矯正を諦めていた方にも、高品質なサービスを手軽に提供したいという想いから開始した、「サブスク型の矯正サービス」を行っている会社です。
この会社との提携がマウスピースの製造から配達までを実現可能にしたようです。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正の違い
そもそもマウスピース矯正ってなに?
歯を矯正するのってあのガジガジしたヤツじゃないの?
そう思っている方もいるのではないでしょうか。
実は歯の矯正は、ボクサーやスポーツ選手がつけるような「マウスピース型」でもできるんです。
しかし、それぞれの利点・欠点が大きくことなる点もあるので紹介しておきます。
ワイヤー矯正
メリット | デメリット |
---|---|
適応症例(治療可能な歯並び)が多いこと 抜歯を伴うような、歯を大きく移動させる治療に向いている | 目立ちやすい 外れたら自分で装着できない 金属で口腔内を傷つけることがある マウスピース矯正に比べ痛みを感じやすい 歯磨きなどお口のケアがしにくい 必要であれば抜歯を伴う |
マウスピース矯正
メリット | デメリット |
---|---|
透明な素材を採用しているため、目立ちにくい ワイヤー矯正と比べ安価 金属アレルギーの人でもOK 自分で取り外しができる ワイヤー矯正に比べて痛みを感じにくい | 治療が終わるまでに患者1人あたり20~30個が必要 1日最低17~20時間程度の装着が必要 食事等以外はマウスピースを外してはいけない 難しい症例が苦手 |
矯正用のマウスピースは長時間つけていなければならかったり、20~30個も形を変えながら装着をくり返す必要がある点からも、見た目は悪いですがワイヤー矯正の方が楽かもしれません。
作っているのはヤマト運輸の人?歯科技工士?
いよいよここからが本題です。
もし、ヤマト運輸が歯科技工士免許を持たずにマウスピース製造を行っていたとするなら、歯科技工士法違反になる可能性があるのです。
歯科技工士法には、次のような記載があります。
第四章 業務
(禁止行為)
第十七条 歯科医師又は歯科技工士でなければ、業として歯科技工を行ってはならない。
「出典:歯科技工士法」
要は当たり前のことですが、マウスピースなどの技工物を作るにあたっては、ちゃんと歯科技工士免許を持った人でなければダメですよということです。
これは元歯科技工士であっても、無免許とあっては見逃すわけにはいきません!
さっそく電話で確認をとってみることにしました。
確認先はこちら
- 厚生労働省
- ヤマト運輸
- ヤマト運輸と提携している「DRIPS」
それぞれがどのような対応をしてくれたのか、見ていただきたいと思います。
厚生労働省の見解
人生初となる厚生労働省への電話に緊張しながらも、仕事の休憩時間を使って電話をかけてみました。
電話口に対応してくれたのは、優しい感じのおばさまです。
「はい、こちら厚生労働省です」
「あの、ヤマト運輸がマウスピース製造を始めたということで、そのことに関して歯科技工士法違反ではないかということについてお伺いしたいのですが」
「はい?ヤマト運輸が?マウスピース?歯科技工士法?」
「はい・・えーと・・あの、ヤマト運輸がマウスピースの製造を始めたんですね。それで歯科技工士の免許を持っていないと、歯科技工士法違反になると思うんですけど、そのことについてお伺いしたいのですが」
「ヤマト運輸さんがマウスピースを作ってると。それが歯科技工士法違反ではないかということですか?」
「そうです、そうそう、そういうことです!」
「分かりました、担当の者に代わりますので少々お待ちください」
ドキドキしながらも、やっとこちらの言いたいことが伝わったことに安堵していると、
「お待たせしました、歯科技工士法についてをお答えすることはできるのですが、ヤマト運輸が歯科技工士法違反かどうかについてはお答えすることはできませんが、よろしいでしょうか?」
えー、やっぱりそうなんだと思いつつ、
「あー、分かりましたそれならいいです」
と、あっさり引き下がることにしました。
歯科技工士法のことについてなら、わざわざ厚生労働省へ電話をしなくてもインターネットでいくらでも見ることができます。
僕が知りたかったのは、マウスピース矯正製造の主は海外であるとのことから、もしかすると何かしら海外での法律を適用して、特別な認可を出しているのでは?と、いったことでした。
それならばと、早い話がもう直接ヤマト運輸に聞いてみればいいんですよね。
あなた歯科技工士免許は持っているの?と。
ヤマト運輸に聞いてみた
はじめからヤマト運輸に電話しておけばよかったなと、若干の後悔をしつつも電話をしてみることに。
どうせなら「ヤマト運輸」と検索すると、「発注」「価格」というキーワードも出てくるので、その辺のこともついでに聞いておくことにしました。
24時間のチャット対応もあるようですが、オペレータ―の方に対応してもらわなければらちが明きません。
「ヤマト運輸がマウスピース製造を始めたということなのですが、これは歯科技工士免許をもった方が作られているのでしょうか?」
「えっ⁉こちらでマウスピースをですか?」
「はい。ニュースにもなってますけど・・・」
「そうなんですか⁉申し訳ございません、存じ上げていませんでした。ちょっとこちらでも確認させていただきます・・・ホントですね‼」
「えー、知らなかったんですか?」
「はい、今初めて知りました。」
「そうなんですね、とにかく歯科技工士免許をもった人がちゃんと作っているのかと、マウスピース矯正の発注方法と価格についてをお伺いしたいのですが」
「分かりました。ではお客さまのご住所へ対応している営業所から改めてご連絡させていただきますので、お客様の電話番号とご住所をお伺いできますでしょうか?」
なぜうちの近くの営業所から連絡させるのかを理解できないまま、とりあえず電話番号と住所を伝えることにしました。
「・・・?はい・・・090・・・」
「ありがとうございます。では、改めて営業所の方からご連絡させていただきますので、もうしばらくお待ちください」
「はい、分かりました」
ここからしばらく連絡を待つことに。
まだサービスが始まったばかりのためか、ヤマトさん全域に情報が浸透してしないのかな?
作っているのは東京の方だから、地方の人は知らないだけなのかな?
でも、オペレーターが知らないということはどういうことなんだろう?と、色々な疑問が頭を駆け巡ります。
~待つこと6時間~
もう今日は連絡がないんだろうなと思っていると、突然インターホンが鳴りました。
画面を確認するとヤマトさんがいます。
「はい、荷物ですか?」
「いえ、先ほどご連絡をいただいた件でお伺いしました!」
なんで⁉わざわざ説明に来てくれたの?
お忙しいところ申し訳ないことをしたなと、玄関を開けました。
すると、
「こんにちは。ヤマトと契約を結んで、これからマウスピースの発送を全国展開すると伺ってきたんですが・・・」
「は⁉俺がマウスピースつくるの⁉」
「はい、オペレーターからそのようにメールがきています」
「いや、マウスピース作り始めるのは俺じゃなくてあなた達でしょ‼」
どうやらこの配達員さんは僕がマウスピースを作って、これから全国に配達をお願いしたいお客さんだと思っているようです。
なぜそんなことになったのか・・・
配達員さんもおかしいと思っていたのでしょう。
僕の家を何度もいぶかしげに見ていました。
こんな普通の一軒家でマウスピースを全国展開規模で作るのか?とでも思っているのでしょうね。
「いやいや、僕が聞きたかったのはこれからヤマト運輸さんがマウスピースを作るにあたって、ちゃんと歯科技工士免許を持った人が作っているのかな、とかそういったことだったんですけど」
「あ、そういうことだったんですか。おかしいと思いました」
「そうですよね(笑)ヤマトさんがマウスピースを作り始めたということは知ってましたか?」
「いえ、さっきネットで見て知りました」
やはりこの配達員さんも知らないんだと思いながら、お忙しいところ申し訳ありませんでしたとお帰りいただきました。
いあ~ほんとにビックリしました。
まさかヤマトさんが来るとは思わなかったし、いつの間にか僕がマウスピースを作ることになっていましたからね(笑)
サービスが始まったとはいえ、ほとんどのヤマトの従業員の方はその事実を知らない状況にあるということが分かってきました。
こうなったら最後の砦はヤマト運輸と提携したとされる「DRIPS」への確認です。
最後の砦「DRIPS」への確認
さぁ、最後になりましたが「DRIPS」への確認をします。
お問い合わせは専用フォームへお願いしますと書いてありましたが、返答がいつになるのか分からないので電話をかけてみました。
平日のお昼頃に3回ほど会社へと電話をかけたのですが繋がりません。
全く知らない会社ですので、なんとなくこの時点で怪しいなと思い始めてしまいました。
それでも待つこと4時間ほど。
再度、向こうから電話がかかってきました。
「こちらDRIPSですが、そちらは歯科医のかたですか?それとも患者様ですか?」
「患者です」
「あ、そうですか。どういったご用件でしたでしょうか?」
「マウスピース矯正のことについてお伺いしたいのですが、例えばこれは歯科技工士さんとか、ちゃんと免許を持った方が作っているのでしょうか?あと、注文方法を教えていただきたいのですが」
「そうですね。ヤマトさんの中にDRIPSの歯科技工所があって、そこで歯科技工士さんが作っています。注文方法はDRIPSのホームページからラインを登録していただいて、そこからのやり取りをお願いしております」
ここまで分かれば十分です。
すぐにありがとうございましたと言って、電話を切りました。
ヤマト運輸・DRIPSの今後の展開
●ヤマト運輸
羽田クロノゲートだけではなく、全国のヤマト運輸主要拠点に3Dプリンターを増設して、患者さんに近い拠点で製造することにより、さらに迅速な提供ができる体制を強化していくそうです。
●DRIPS
「hanaravi(ハナラビ)」の提携歯科医院数を増やし、多くの患者を受け入れできる体制を構築するほか、他社ブランドの製品も製造していくとのこと。
まとめ
- ヤマト運輸の新サービス「マウスピース矯正」は、DRIPSの歯科技工士さんが作っていた‼
- ヤマト運輸の中にDRIPSの歯科技工所があり、そこでマウスピースを製造している
- 注文方法は、DRIPSのホームページからライン登録をすること
やっぱりヤマト運輸のドライバーさんが勝手に作っているのではないんですね。
はじめにニュースで見た映像を見て勘違いをしてしまいました(笑)
まだサービスが始まったばかりということもあって、ヤマト運輸の方もほとんどが知らないのでしょう。
報道では「ヤマト運輸が歯の矯正用マウスピースを製造開始」と出ていますが、正しくは「DRIPSの歯科技工士さんがヤマト運輸内の技工所にてマウスピースを製造し、それをヤマト運輸が各自発送を行う」といったところになります。
分かりやすいかもしれませんが、タイトルを短縮しすぎな気もします。
注目を引くことが目的とするのなら、まんまとやられました。
DRIPSを知らなくても、ヤマト運輸なら誰しもが知っていますからね。
今後、このサービスが浸透していくのならば、従来のマウスピース矯正よりも費用が抑えられて、歯科技工士さんがちゃんと作ってくれるということもあって、なかなかいいのではないかと思います。
これから歯の矯正を考えている方の参考になれば幸いです。
では、また。